新築か中古か:見えないコストを踏まえた選択|HB-02

家を買うタイミングは人によって違います。家族が増える、環境を整えたい、通勤を楽にしたい。そのとき、新築と中古のどちらを選ぶかは、「いくらで買えるか」だけでは決めにくい選択です。家は、住み始めてから必要になるお金があります。

目 次

結論:住まいごとに、お金の出番が違う

新築か中古かを判断するとき、まず目に入るのは購入価格です。しかし実際には、住み始めてから必要になるお金も含めて考える必要があります。

新築では、当初しばらくは修繕費がかからない一方で、築15年前後を目安に設備や外装の更新が重なり、まとまった支出が発生しやすくなります。中古では、購入直後に手当てが必要になる場合があるものの、建物の状態が見えている分、どこにどれだけお金がかかるかを事前に想定しやすいという特徴があります。

さらに、戸建とマンションでは、お金の備え方そのものが異なります。戸建は将来の修繕を任意で備えていく住まいであり、マンションは共用部分について義務的な固定費を支払いながら、専有部分を任意で備えていく住まいです。

新築・中古、戸建・マンションといった違いはあっても、月単位で見直してみると、必要になる備えの水準そのものは大きく変わりません。大切なのは「いくらかかるか」だけでなく、「いつ」「どこに」「どう備えるか」を把握し、自分の家計に合った形を選ぶことです。

新築は「後から出るお金」を見据える

・最初の10年は、新築保証の範囲がある
・築15年前後を目安に、設備や外装に支出が始まる
・支出の出方は、戸建とマンションで異なる

新築は「保証が効く期間」がある。これが最初の安心につながっています。ただし、保証は構造躯体など限定的で、外壁・設備などは寿命に応じて対応が必要です。マンションも同様に新築保証がありますが、外装や共用部分の修繕は管理組合の計画で行われます。設備交換など、専有部分については戸建と同じく寿命に合わせて自己負担が必要です。

新築戸建は「暮らしを自由に設計できる」住まい

新築戸建の魅力は、住み始めてしばらくお金が出ていかないことです。

  • 新築10年保証(構造・雨漏り)が付く
  • 設備が新しく、交換がしばらく不要
  • ゼロから自分たちの暮らしを作れる

こうした安心の裏には価格が高くなる理由が含まれます。

  • 最新の省エネ/耐震基準に対応する設備仕様
  • 販売経費(広告費など)
  • 土地を含む立地プレミア

とはいえ、安心が続くのは最初の10年ほど。その後は設備や外装に寿命が訪れます。「いつ」「どれくらい」掛かるかを知っておくことで、住み始めてからの家計を見通しやすくなります。次の表では、修繕や交換の推奨時期と、実際に支出が発生しやすい時期を見ていきます。

修繕項目推奨時期実務で多い時期費用相場(2025年)
給湯器10年前後壊れたら交換15〜40万円
設備更新
(エアコン等)
7〜12年劣化に応じて対応10〜30万円
外壁塗装(サイディング等)10〜15年売却前に実施が多い80〜150万円
屋根修繕(スレート系)15〜20年雨漏り発生時60〜250万円

生活に直結する設備が先に支出となり、その後に外壁・屋根が続き、短期間に大きな出費となる場合があります。実際に、新築戸建を30年以上保有した場合の修繕費は平均約615万円(2023年調査)と言われています。長く住む前提なら月3〜4万円を積み立てがあると安心です。また、外装や屋根を先延ばしにすると、雨漏りなどで修繕範囲が広がったり、売却時の査定に影響したりすることがあります。つまり、家の状態を見ながら、計画的に判断していくことが大切です。

先に安心を得て、後で自分で整えていく。
新築戸建は、自由度が高い分、家計管理の裁量も大きい住まいです。

新築マンションは「固定費で安心を買う」住まい

新築マンションの強みは、建物全体が最新仕様で整い、維持管理を任せられる安心感です。

  • 断熱・遮音など住性能が高い
  • セキュリティ・共用設備まで新品
  • 長期修繕計画が最初から整っている
  • 管理の手間を自分で背負わなくていい

こうした安心を支える仕組みとして、購入直後から管理費と修繕積立金が発生します。一般的な目安は以下のとおりです。

  • 管理費:月1万〜1.5万円程度
  • 修繕積立金:月1万〜1.5万円程度

➤ 月2万〜3万円前後の固定費が標準ライン ※ 専有面積や共用設備の内容で変動します。

さらに、以下のコストが購入価格に含まれることで、価格が高くなりやすい傾向があります。

  • 駅近など立地プレミア
  • 共用部(エントランス等)の維持費
  • 販売経費(広告費など)

また、専有部分にも最新仕様の設備(給湯器・水回り・断熱サッシなど)が備わるため、初期費用は高くなりやすい一方で、当面は交換が不要という利点があります。ただし、これらの寿命が来た際の費用は自分で負担する必要があり、購入後の家計設計に組み込んでおくことが大切です。

固定費で安心を確保しつつ、設備寿命には自ら備える。
新築マンションは、そうしたバランスを最初から選ぶ住まいです。

中古は「最初に出るお金」を確認する

・劣化状況が確認でき、必要費用を事前に把握できる
・状態に応じて価格交渉の根拠が作れる
・修繕履歴でこれからの家計の見通しが立つ

中古住宅は、劣化の状況がすでに分かっている状態で選びます。必要な修繕があれば最初に把握でき、その分が物件価格に反映されます。ただし、見落としがあれば想定外の支出に繋がるため、確認すべき項目を押さえて進めることが必要です。

中古戸建は「状態を見て最適化できる」住まい

中古戸建は、建物の状態を実際に見て判断できる住まいです。すでに所有者側で対応してある部分は、購入後しばらくは費用が掛かりにくいところとして扱えます。一方で手が入っていない部分は、購入直後や数年以内に修繕や交換が必要な候補になります対応内容は物件ごとに異なるため、同じ築年数でも必要な費用は変わります。その判断材料として、よく検討される内容は次の3つです。

  • 最低限の補修や入れ替えで住み始める
  • 生活の中心となる水回りから改善する
  • 外装・屋根・断熱など大きな部分まで手を入れる

どこまで対応するかによって、費用の発生時期と大きさが変わります。ここからは、購入前に確認しておきたいポイントとその際の費用イメージを整理します。

項目確認箇所負担想定費用目安(2025年)
給湯器製造年10年以上小〜中15万〜40万円
水回りサビ・水漏れ・床の浮き50万〜200万円
外壁ひび割れ・塗膜劣化中〜大80万〜150万円
屋根雨漏り跡・防水劣化60万〜250万円
構造(シロアリ含む)基礎の腐食・傾き等特大〜150万円
+場合により数百万円

表で確認した項目は、支出が起こりやすい場所がどこかを掴むためのチェックポイントです。ここに修繕履歴などがあれば、「当面は安心なところ」と「備えるところ」が分かります。戸建の場合、屋根や外壁が絡むと費用が大きくなるため、次の内容を購入前にあらかじめ整理しておくと、価格とのバランスを判断できます。

  • どこまで所有者側で対応しているか
  • どの部分がこれからの支出として残るのか
  • 修繕履歴が書面等で確認できるか
  • 劣化箇所の見積りが準備できるか
  • 修繕費用が販売価格に織り込まれているか

大きな費用が残る場合は、購入価格や契約条件を検討するうえでの根拠になります。

確認できたことを選択に反映できる。
中古戸建は、安心のつくり方を自分で選べる住まいです。

中古マンションは「安心を見極めて選ぶ」住まい

中古マンションは、専有部(部屋)と共用部(建物)の両方を見て評価するところから始まります。室内は自分自身で直せますが、建物全体の管理は住民全員で支えています。だからこそ「部屋の状態」と「管理の状態」どちらも確認することが大事になります。

専有部分の確認

次の表は、専有部の見るポイントとその際の費用イメージです。

項目確認箇所負担想定費用目安(2025年)
サッシ・建具開閉の不具合・すき間風5万〜50万円
内装(床・壁)へこみ・結露跡・クロスの浮き小〜中10万〜80万円
給湯器製造年10年以上小〜中15万〜40万円
水回りサビ・水漏れ・床の浮き30万〜200万円
配管系水圧の弱さ・錆水・漏水跡中〜大数十万円〜

専有部分は 直せる範囲が室内で完結するため、どこが直されていて、どこが古いままなのかを明確に把握でき、費用の見通しが立てやすくなっています。ただし、リフォーム済みとなっている物件は、見た目が新しくても 配管や内部が古いままのケースがあるため、「工事範囲」や「設備保証の引継ぎ」を書面で確認することが後のリスク回避につながります。

共用部分の確認

室内だけ整っていても、共用部分の維持が遅れていると暮らしに影響します。管理の状態は、現地での確認に加えて次の書類で判断します。

重要事項調査報告書を確認する。

この書類は、管理会社に請求することで発行できます(有料であることが多いです)。そして、以下の情報が整理されています。

  • 修繕積立金の総額(現在の残高)
  • 管理費や修繕積立金の改定(値上げ)予定
  • 滞納額や未収金額の有無と金額
  • 過去の修繕履歴と実施年度
  • 大規模修繕工事等の予定 等

ここに情報が揃っていない物件は、管理が機能していない可能性があり、慎重な判断が必要です。

長期修繕計画積立金を併せて読む。

  • 計画されている修繕内容と時期
  • 現在の積立金で賄えるのか
  • 不足が見込まれる場合は将来の値上げリスク

今の支出と将来の支出の両方を見通すことができます。また、新築マンションと同様に、管理費と修繕積立金(月2~3万円前後)が発生します。負担が急に増えないよう、以上のチェックが欠かせません。

室内は自分で改善できる。建物全体は管理の質で決まる。
中古マンションは、その両方から暮らしの安心度を判断できる住まいです。

費用は「月でならして」で考える

・住まいの種類によって、お金の備え方は異なる
・義務として支払うものと、任意で備えるものがある
・リフォームは、範囲を選ぶことで支出を調整できる

ここまで、新築と中古ではお金が必要になる時期が異なることを確認してきました。ここからは、その違いにどう備えるかという視点で、住まいごとの考え方を見ていきます。

戸建住宅:任意で備える

戸建住宅には、管理費や修繕積立金といった義務的な固定費はありません。新築・中古を問わず、設備・外装・屋根まで含めて、建物全体を自分で管理していく住まいです。

これまで見てきたように、戸建住宅では修繕や交換に一定の目安があります。設備は築10年前後、外装や屋根は築15年前後を目安に、更新が必要になるケースが多くなります。これらは必ず同時に起きるわけではありませんが、時期が近づくと支出がまとまりやすい傾向があります。

その結果として、「30年以上保有した場合の修繕費は平均約615万円」という水準が示されていました。実務では、仕様や使い方の違いなども踏まえ、600〜800万円程度を長期で見ておくケースが一般的です。これを30年(360か月)でならすと、月あたりでは約1.7〜2.2万円という金額感になります。
ただし、戸建住宅の修繕費は、必要な時期に数十万〜数百万円単位で発生することがあります。こうした支出の偏りを月ごとに考えるため、実務では月3〜4万円前後を一つの目安として扱われることが多くなります。

マンション:義務で共用を、任意で専有を備える

マンションには、管理費と修繕積立金という義務的な固定費があります。新築・中古を問わず、外壁や屋根、共用配管、エレベーターなど、建物全体の維持管理は区分所有者全員で行い、その費用を毎月負担していく仕組みです。一般的には、管理費と修繕積立金を合わせて月2〜3万円前後が一つの目安になります。ここで備えているのは、あくまで共用部分であり、建物全体を長く使っていくための基盤となる費用です。

一方で、専有部分(室内)の設備や内装は、この管理費や修繕積立金には含まれません。これまで確認してきた専有部分の費用感を踏まえると、給湯器や水回り、内装、配管などの更新で、居住期間中におおよそ100万〜300万円程度の支出が発生するケースが一般的です。

これを20〜25年ほどの居住期間でならして考えると、月あたりではおおむね1万円前後という金額感になります。そのためマンションでは、共用部分については管理費・修繕積立金として義務で月2〜3万円前後を支払い、専有部分については将来の更新に向けて任意で月1万円前後を見込んでおく、という考え方が現実的になります。

ここで新築と中古の違いを見ると、新築マンションは当初しばらくの間、専有部分の設備が新しいため、任意で備える必要性は比較的緩やかです。一方で中古マンションは、購入時点で設備の残存年数が見えている分、早めに備えを意識する場面が出てくることがあります。ただし、義務として支払う管理費・修繕積立金の仕組み自体は、新築・中古で変わりません。

月額で見ると、必要な備えの水準は近づく

ここまで見てきた内容を月単位で捉え直すと、住まいの種類によって備え方は異なるものの、必要になる金額水準そのものは大きく離れません。戸建住宅では、将来の修繕費を自分で備える必要があり、その総額を長期でならして考えると、月あたり3〜4万円前後が一つの目安になります。一方、マンションでは、管理費・修繕積立金として義務的に支払う固定費に、専有部分の更新に備える任意分を加えることで、同じく月3〜4万円前後という水準に収まります。

このように、戸建かマンションか、新築か中古かによって「お金の出方」や「支払うタイミング」は異なりますが、月々に置き換えて見たときの負担感は、極端に違うものではありません。
次に見るのは、その中でも調整の幅が出やすい、居住部分のリフォーム費用です。

居住部分リフォームの費用感(㎡単価)

中古物件の中で、リフォームされていない物件を検討するときは、購入後にどの程度の工事費が必要になりそうかを、事前にイメージしておくことが大切です。居住部分については、次の考え方で金額の目安を出せます。

  1. 販売図面等に記載された建物面積を確認する
  2. 工事の範囲を決め、その平米単価を掛けて試算する

では、居住面積70㎡を例に、既存を活かして改善する場合と自分好みに全改修する場合の費用総額の基準を見ていきます。

リフォーム内容目安総額(70㎡)単価目安
既存内装中心:床・壁・建具+水回りを含む基本的な入れ替え約630万円9万円前後
全改修想定:内装+水回り+設備グレードアップ等約840〜980万円14万円前後
※実際の金額は物件の状態・仕様・見積り次第で変動します。

この単価を押さえておくと、次の判断がしやすくなります。

  • 今検討している物件を 直す前提で見ても検討できるか
  • 直す場合、購入価格+工事総額が新築より合理的か
  • どこまで改善すれば 自分たちの暮らしにフィットするか
  • どの範囲を購入時に所有者側へ求めるか(価格や入居時期調整等)

費用の先が読めるほど、選び方の自由は広がります。

編集長のコメント

家選びは「買うことを決めた瞬間」が一番盛り上がります。間取りや日当たりを見ていたら、もうその家に住む自分が想像できますよね。ただ、家は買って終わりではありません。住みながら備えていく時間の方がずっと長いものです。
新築か中古か、戸建かマンションかという選択に「絶対の正解」はありません。大切なのは、見えないコストをしっかり見たうえで選べたかどうかです。実際の相談でも、こんな声がよくあります。

  • 新築で安心してたけど、設備交換の時期が思ったより早かった
  • リフォーム済みで買ったつもりが、配管部分はまだ古かったみたいで…

どちらも、買う前に確認しようとしなければ分からない部分です。後から不具合が出た頃には、直さなければならない突発的な費用として発生しています。気に入った家を選ぶことはとても大事です。そのうえで、未来の支出まで見通した判断ができると、納得できる暮らしに繋がります。

「知ったうえで決めたのなら、次は守るのみです。」

まとめ

  • 支出がいつ発生するかを比較する。新築は後半、中古は最初+将来へ。
  • どこに備えが必要かを見極める。戸建は設備・外装、マンションは専有+共用。
  • 月いくらで続けられるかでそろえる。多くのケースで、月3〜4万円前後が一つの目安になる。

形より「支出の出方」が見える選択を。その視点が、暮らしを長く強くします。

次に読むべき記事

住宅予算の正解は?年収別に見る返済比率の決め方|HB-01
➤ HB-03の記事は現在整備中です。公開までしばらくお待ちください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

PropFP編集長のアバター PropFP編集長 宅建士 × CFP®

不動産業界15年
宅地建物取引士
CFP®(Certified Financial Planner™)

不動産の仕入・新築開発販売・リフォーム再販・投資用仲介・賃貸管理・隣地調整など、実務の川上から川下までを幅広く経験。

「不動産の知識だけでは、お客様を守れない」
その実感から、不動産 × お金 の両側面を正直に伝えるメディアとして PropFPを運営。
不動産の良い面と注意点の両方を踏まえて、落ち着いて判断できる情報を届けています。

■ PropFP = Property(不動産)× Financial Planning(資金計画)

目 次