家はいつ売るべき?相場サイクルで読む“売り時”2026年版|HS-01

家の売却で最も悩むのが売り時の判断です。2026年現在、金利上昇と郊外の在庫増加が進み、都心は上昇、郊外は弱含みという“二極化”が見られます。相場を知らずに判断を先延ばしにすると、数百万円単位で損をするケースもあります。
過去のデータをもとに売り時の考え方を見ていきましょう。

目 次

結論:売り時は「相場」と「自分のタイミング」が重なる瞬間

家の売り時はシンプルに「相場が下落に入る前」です。そのうえで、住み替えや家族構成の変化など売る理由が出たときに重なっていれば迷わず売却を検討すべきです。
不動産相場は、一般的に次の4つのサイクルで動くと言われています。

サイクル金利景気需給売却判断
上昇期低金利回復需要増○ 売りやすい
高止まり期低金利好調供給抑制◎ 売り時
下落期金利上昇減速需要減△ 慎重に判断
底値期高金利不況供給過多× 売却に不利

ポイントは、下落期に入ってから動くと選択肢が一気に減ることです。だからこそ、相場が高止まりしている時、あるいは下落の兆しが見えた段階で、「自分が売る必要があるか」を合わせて判断するのが合理的です。
2026年は、「高止まり期」から「下落期」へ移る入口にあたる可能性がある局面と見られています。都心・駅近は価格を維持しやすい一方、郊外・駅遠はすでに弱含みの兆候が出ているため、物件タイプによって売り時の“早さ”が変わります。

リーマンショックが教える「相場の変動」

・マンション価格は1年半で約10%下落した
・回復まで約4〜5年かかった
・戸建価格はマンションより下落幅が大きく、郊外はさらに影響を受けていた

不動産の相場サイクルを理解するうえで、過去の変動事例から学ぶのが参考になります。その代表例が、2008年9月のリーマンショックです。「100年に一度の金融危機」とも呼ばれ不動産市場にも大きな影響を与えました。

【リーマンショック前後の価格推移(首都圏)】

新築マンション中古マンション
20074,700万円2,600万円
20084,800万円3,100万円
20094,500万円2,800万円
20134,900万円2,900万円
出典:不動産経済研究所「マンション市場動向」、レインズ「首都圏不動産流通市場の動向」

中古マンションは2008年に3,100万円まで上昇したあと、翌2009年には2,800万円と約10%下落しました。その後、元の水準に戻るまで 4〜5年かかったとされています。

物件種別と立地で影響が異なる

リーマンショックの特徴は、「物件の種類」と「立地」で下落幅が大きく変わったことです。

【物件種別による違い】

種類下落率
マンション約10%
戸建約12.5%

マンションは都心・駅近に多く、買い手が一定数いるため、価格が下がりにくい特性があります。一方で戸建は立地が分散しており、景気悪化時には購入検討者が減り、売却期間が長期化する傾向がありました。

【立地による違い】

立地特徴
都心・駅近下落幅は比較的小さかった
郊外・駅遠需要が急減し、売却しにくい状況が続出

つまり、「郊外の戸建て」が最も影響を受けやすく、「都心のマンション」が最も影響を受けにくいという構図になりました。実際にも「様子見した結果、数百万円下げざるを得なくなった」という相談例は少なくありません。相場が崩れ始めると、影響が出る順番は弱いところから進むという特徴があります。

2026年も類似リスクの可能性がある

2026年に入り、次のような兆候が確認されています。

  • 金利が緩やかに上昇
  • 郊外物件の成約数が減少傾向
  • 一部エリアで価格調整(値下げ)の事例が出始めている

リーマンショックほど急激ではないものの、「気づいたら売りづらい状況になっていた」という展開は十分あり得ます。特に、以下の条件に当てはまる物件は影響を受けやすいとされています。

  • 郊外の戸建て(最も影響を受けやすい)
  • 駅徒歩15分以上
  • 築25年以上

こうした物件は、需要が落ちると売却までの期間が長期化し、価格調整(値下げ)が必要になるケースが出やすくなります。

リーマンショックで見るように、相場の変化は一斉ではなく市場の位置によって段階的に現れます。いまの市場がどの段階にあるのかを押さえておくと、売却の判断をしやすくなります。

相場サイクルを動かす3つの要素

・金利1%上昇で不動産価格は約20%下落の可能性
・景気と金融政策の4ステージで相場が変動する
・供給量が減ると価格は上がりやすい

不動産の相場サイクルは、主に 「金利」「景気」「需給バランス」 の3つで決まります。それぞれが相場にどう影響するのかを見ていきます。

金利 ― 最も直接的に影響が出る要素

金利は不動産価格に最も直接的な影響を与えると言われています。

金利1%上昇 = 不動産価格約20%下落

これは理論値ですが、実際に2024年3月に日銀がマイナス金利を解除してから、郊外物件の成約価格は下落傾向にあるという指摘があります。低金利であれば、住宅ローンの返済額が少なくなるため「少し高くても買える」と判断する人が増える傾向があります。逆に金利が上がると、同じ価格の家でも返済額が増えるため、購入できる人が減り、価格が下がる可能性があります。

例えば、3,000万円を35年ローンで借りた場合:

  • 0.5%:月78,000円
  • 1.5%:月92,000円(+14,000円)

月1.4万円の差は年間17万円、35年で約600万円にもなります。
返済額が増える = 同じ収入で買える物件が少なくなる。結果として、需要が減り、価格が下がりやすくなるという流れが生じます。

景気 ― 金融政策の4ステージ

不動産の相場サイクルは、景気と金融政策の組み合わせで4つのステージに分類できるとされています。

ステージ金融政策価格の動き
① 回復期金融緩和価格が上がり始める
② 好調期緩和 → 引き締め高値が続く
③ 減速期引き締め強化下落が始まる
④ 不況期緩和再開底値付近

2013年〜2024年は、「回復期」から「好調期」だったと見られています。景気が強く、金融緩和も続いたため、不動産価格も着実に上昇しました。2026年以降は金利上昇に加えて、市場の動きがやや鈍り始めると予想されます。一般的には、「減速期に入りやすい条件が揃ってきた」と判断される局面です。

  • 買い手の予算が縮む
  • 金利がじわじわ効く
  • 価格調整が起きやすくなる

こうした要因が重なりやすい時期といえます。売却を考える側にとっては、相場がどのステージにあるのかを把握することが大切です。

需給バランス ― 供給量が価格の下支えになる理由

不動産市場では、首都圏の新築マンション供給量が減少傾向にあります。まずは首都圏の供給状況と価格の動きを数字で見てみましょう。

  • 2024年の首都圏新築マンション供給:34,114戸(3年連続減、1980年以降で最少)
  • 2025年1〜9月の東京都区部供給:11,226戸(約30年ぶりの低水準)
  • 東京23区の新築マンション平均価格
    • 2024年上半期:10,855万円
    • 2025年上半期:1億3,064万円(前年度同期比 20.4%上昇)
    • 2025年5月:1億4,049万円(前年同月比 36.1%上昇)

※ 出典:不動産経済研究所「マンション市場動向」、SUUMO

このように、供給が少ない状態が続くと選べる物件が限られるため、価格が下がりにくくなる場合があります。(希少性の原理)2025年にかけての価格上昇には、この供給面の影響が反映されていると考えられます。ただし、供給が抑えられているのは主に都心部です。郊外では新築・中古の在庫が増えやすく、駅から距離がある物件は成約まで時間がかかることがあります。地域ごとの供給状況が異なると、相場の動きにも差が出ることがあります。

相場は金利・景気(政策)・供給量の3つで動きます。この3つの流れを見るだけで、市場の“今”が掴みやすくなります。

2026年以降の「売り時」予測

・都心物件:2027年前半まで価格維持の見込み
・郊外や築古物件:2026年が一つの目安
・判断材料は「立地・築年数・金利」の3つ

2026年以降の相場は、エリアと物件の状態によって動きが大きく分かれる時期と予測されています。ここから「売り時」を判断するための3つの視点を整理していきます。

金利動向の確認

金融市場では、日銀が2025年12月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げ、2026年も段階的な利上げを継続する方針を示しています。

時期政策金利予測想定される動き
2026年1月0.75%現在水準
2026年7月1.0%前後次回利上げの有力時期
2027年度1.25%~1.75%段階的な利上げ継続

変動金利の住宅ローンは、2025年11月時点で0.775%程度でしたが、2026年には1%前後まで上昇する見込みです。借入3,000万円の場合、月々の返済額が約5,000〜10,000円増加する計算になります。

※参考:日本銀行、日本経済新聞

都心・駅近は2027年前半まで価格維持の見込み

以下の理由で、都心・駅徒歩10分以内の物件は2027年前半まで価格が維持されやすい状況です。

  • 新規供給が抑制されており、希少性が高い
  • 円安を背景にした海外投資家の需要
  • 富裕層の資産防衛目的の購入

ただし、2027年後半以降は金利上昇の累積効果による調整が入る可能性があります。

郊外や築古物件は2026年が一つの目安に

郊外エリアや築20年超の物件は、2026年がひとつの売却検討ラインになります。

金利1%到達前:
政策金利が1%に達すると、変動金利も上昇し、購入できる層が減少します。特に郊外物件は、購入予算が限られる層が中心となるため、金利上昇の影響を受けやすい傾向があります。

相続ピーク前:
団塊世代(1947-49年生まれ)は現在76~78歳です。日本の平均寿命(男性81歳、女性87歳)を考えると、相続のピークは2028年〜2036年頃と予測されます。相続により売却される物件が増えると、供給が需要を上回る状態になる可能性があります。2026年は、その“直前のタイミング”と言えます。

出典:厚生労働省 簡易生命表

売却判断の3つのチェックポイント

以下のどれに当てはまるかで、売却時期の目安が整理できます。

項目2026年前半が目安2027年まで様子見
立地郊外・駅徒歩15分以上都心・駅徒歩10分以内
築年数築20年超築15年以内
金利政策金利0.75%到達時政策金利1.0%到達前

ただし、相場だけでなく、ご自身のライフプランや住み替えの必要性を総合的に判断することが重要です。チェックポイントに当てはめてみて、「判断がつききらない」と感じた場合は、一度、個別条件を整理してもらうのも一つの方法です。

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2026年は“相場の変化が表面化しやすい年”。
都心と郊外で動きが分かれるため、物件の条件によって判断基準も変わってきます。

編集長のコメント

売り時を自分で判断するのは、思っているより難しいものです。相場は上がる時もあれば、少しずつ落ち着いていく時期もあります。その動きに合わせて判断しようとすると、どうしても迷いが出やすくなります。でも実際は、相場が強いか弱いかだけで決めると、判断が先延ばしになりやすいのが正直なところです。
都心・郊外、築浅・築古、金利のタイミング。同じ“売却”でも条件によって意味が大きく変わります。だからこそ大切なのは、「相場の段階」と「自分が動く理由」この2つを並べて考えることです。

相場が良いときに動くのも一つの選択。
自分の生活の変化に合わせて動くのも一つの選択。

どちらも間違いではありません。まずは情報を整理して動ける状態を整えておくだけで十分です。それだけでも、判断のしやすさは大きく変わります。

「迷うときはまず、“今の暮らし”を基準にしてみてください。」

まとめ

  • 過去の相場では、影響は段階的に発生。エリアや物件の違いで動き方に差が出ます。
  • 相場サイクルは「金利・景気・需給」で動く。大きな流れはこの3つで読み取れます。
  • 2026年以降は「立地×築年数×金利」が判断材料になる。物件の条件で売却の目安が変わります。

自分の物件がどの位置にあるのかを把握することが、売却判断の出発点になります。

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この記事を書いた人

PropFP編集長のアバター PropFP編集長 宅建士 × CFP®

不動産業界15年
宅地建物取引士
CFP®(Certified Financial Planner™)

不動産の仕入・新築開発販売・リフォーム再販・投資用仲介・賃貸管理・隣地調整など、実務の川上から川下までを幅広く経験。

「不動産の知識だけでは、お客様を守れない」
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