家賃の適正額とは?年収×生活費で基準化する方法|HR-01

家賃はいくらまでが適正なのか――
手取りベースの適正比率、年収別の適正家賃、そして生活費とのバランスまでを数字で見ていきます。無理なく暮らせる家賃ラインを、ここでしっかり固めてみてください。

目 次

結論:家賃は手取りの20〜25%がひとつの目安

家賃は、手取りの20〜25%前後をひとつの目安として考えるのが現実的です。これは、この数字が正解という意味ではなく、生活コストを踏まえた出発点としてのラインです。

かつて使われていた3割という基準もありますが、当時の収入の伸びや固定費の軽さを前提とした考え方でした。現在は、物価や通信費、税・社会保険料の負担が積み重なり、同じ割合でも家計に残る余力は変わっています。

だからこそ、家賃の〇%ではなく、生活費や将来の変化も含めて、家計全体の中で考える必要があります。

家賃の考え方が変わった背景

・昔の3割基準は、生活コストが軽い時代の目安
・現在は物価・通信費・税負担が家計を先に占める
・同じ割合でも生活に残るお金の意味が変わっている

家賃設定の背景は、前提となる生活環境が変わったことにあります。

3割(= 30%)という目安が使われていた理由

かつて家賃の目安として「手取りの3割」という考え方が広く使われていました。これは、当時の家計構造において、住居費を整理しやすい指標だったためです。収入が伸び、生活コストが比較的軽かった時代では、住居費を割合で捉えても、生活全体が大きく崩れることは少ない状況でした。家賃を一定の比率に収めるという整理が、そのまま機能していた時代です。この3割という数字自体に、厳密な理論や計算式があったわけではありません。おそらく、当時の平均的な生活費配分(住居費が3割前後)をもとにした経験則が、「約3割」という形で定着していったものと考えられます。学術的な裏付けではなく、「その程度なら生活が回る」という感覚的な目安が、次第に常識として共有されていった。ただし、この考え方自体が誤っていたわけではなく、当時の前提においては合理的な整理方法だったと言えます。いまは“感覚的な3割”より“続けられる比率”が軸になっています。

家計構造の変化と住居費の位置づけ

家計を取り巻く環境は、時代とともに大きく変わってきました。

【時代背景の変化】

  • 高度経済成長期(1970〜1980年代)
    • 給料右肩上がり、物価安定
    • 通信費ほぼゼロ
    • 食費・光熱費も現在より安価

➤ 家賃以外の固定費が少なく、住居費が家計を圧迫しにくい環境でした。

  • バブル崩壊〜デフレ期(1990〜2010年代)
    • 給料の伸びが鈍化、ボーナスカット
    • 携帯電話の普及で通信費が新たな固定費に(月1〜2万円)
    • 食費・光熱費は横ばいだが、給料も上がらない

➤ 家賃に加えて新たな固定費が増え、家計の余白が削られ始めました。

  • 物価高・増税時代(2020年代〜現在)
    • 給料横ばい、物価高騰(特に食費・光熱費)
    • スマホ代、サブスク代(動画・音楽)、Wi-Fi代など固定費が大幅増加(月2〜3万円)
    • 消費税10%、社会保険料負担増

➤ 固定費全体が重なり、家賃の位置づけが以前とは変わっています。

以前は、家賃が家計の中で占める割合そのものが、生活の余裕を左右していました。現在は、物価や通信費、税・社会保険料といった支出が先に積み重なり、家賃の割合だけでは家計の実態を捉えにくくなっています。地域によっては、数字上は抑えていても、余裕を感じにくいケースも見られます。

家賃の数字よりも、家計全体の組み方が先に問われるようになっています。

適正家賃と生活費とのバランス

・家賃は年収の25%以内(手取りベース)を基準
・年収300万円なら月5.2万円、年収500万円なら月8.3万円が目安
・自分の世帯の生活費を把握して、家賃との残額を計算する

実際の家計では、家賃の前に生活費が差し引かれ、残ったお金で貯蓄や予備費を回すことになります。ここでは、年収別の目安に加えて、生活費を差し引いたあとの「残り」に注目して見ていきます。

年収別の適正家賃早見表

次の表は、年収ごとの手取り額をもとに、家賃を2割〜2.5割に抑えた場合と、3割で借りた場合を並べています。同じ年収でも、どの水準で借りるかによって、毎月の余力がどれくらい変わるかをイメージしてみてください。

【調査データ:2025年12月時点】

年収手取り(月)2割〜2.5割3割
300万円約20.8万円4.2〜5.2万円6.2万円
400万円約26.6万円5.3〜6.7万円8.0万円
500万円約33.3万円6.7〜8.3万円10.0万円
600万円約39.0万円7.8〜9.8万円11.7万円
700万円約45.5万円9.1〜11.4万円13.7万円
800万円約52.0万円10.4〜13万円15.6万円
1,000万円約65.0万円13〜16.3万円19.5万円
※手取りは額面の約78%(社会保険料・税金控除後)、家賃は手取りの20〜25%で計算

世帯別の生活費(家賃を除く)の平均データ

家賃の影響を考えるには、「家賃を除いた生活費がどれくらいかかるのか」を知っておく必要があります。

【調査データ ※出典:総務省統計局「家計調査」2024年】

世帯平均生活費/月食費光熱・水道交通・通信教育費その他
単身世帯約16.2万円4.1万円1.2万円2.5万円8.4万円
2人世帯約26.9万円7.5万円2.1万円3.5万円13.8万円
3人世帯約30.4万円8.9万円2.4万円3.8万円1.8万円13.5万円
4人世帯約33.0万円9.8万円2.7万円4.2万円2.5万円13.8万円
※その他:保険料、医療費、衣類、娯楽費、交際費などを含む(総務省分類)

手取り30万円の単身世帯を例に、家賃負担「3割」と「2.5割」で比べてみます。

【シミュレーション例:手取り30万円・単身者】

項目家賃3割家賃2.5割
手取り月収30万円30万円
家賃9万円7.5万円
生活費16.2万円16.2万円
貯蓄可能額※4.8万円6.3万円
余裕資金0.3万円
※ギリギリ
1.8万円
※余裕あり
※推奨貯蓄額:手取りの15% = 4.5万円設定

手取りの15%は家計相談でよく使う「最低限の積立ライン」です。手取り30万円の場合、理想的な貯蓄額は4.5万円となります。家賃を3割に設定すると、計算上は貯蓄に回せる余地は残りますが、突発的な支出が出たときに調整しづらい状態になります。一方、家賃を2.5割に抑えると、同じ生活費でも月1.8万円ほどの余力が生まれます。この差は、日常の安心感や、何かあったときの対応力にそのまま表れてきます。

年収別・世帯別の平均値を並べています。
ご自身の条件が、どのあたりに当てはまるかを見るための参考として使ってください。

家賃判断に含めておきたい契約コスト

・初期費用:家賃の4〜6ヶ月分
・更新料:家賃1〜2ヶ月分
・管理費:5,000〜15,000円/月

物件を選ぶとき、多くの人がまず家賃に目を向けます。一方で、契約時や更新時にかかる費用は「その都度の話」として後回しにされやすい。しかし、家計に効いてくるのは、家賃とセットで発生するこれらのコストです。

【初期費用の実例:家賃8万円の場合】

項目相場金額例
敷金1〜2ヶ月分8〜16万円
礼金1〜2ヶ月分8〜16万円
仲介手数料1ヶ月分8万円
日割り家賃0~8万円
前家賃1ヶ月分8万円
火災保険1.5〜2万円
鍵交換1.5〜2.5万円
その他2万円
初期費用額4〜6ヶ月分32〜48万円
※初期費用額は金額例の合計と一致するものではありません。
※税金は考慮していません。

初期費用は、毎月の支払いとは別に、入居時にまとまって発生します。この時点で手元資金(貯金額)の状態が変わるため、同じ家賃でも、入居前と入居後では金額の受け止め方が変わることがあります。

【更新料(2年ごと)】

  • 更新料:家賃1ヶ月分(地域によっては2ヶ月分)
  • 更新事務手数料:1〜2万円
  • 費用例:家賃8万円 → 2年ごとに9〜10万円

更新料は、毎月の支払いではない分、家賃判断の中で意識されにくい費用です。ただし、住み続ける前提で考えるなら、避けて通れないコストでもあります。

【管理費・共益費】

  • 月5,000〜15,000円(物件による)
  • 注意点:家賃と別に表示されていないかを確認
    • 「家賃8万円(管理費込み)」→ 実質家賃は7.5万円
    • 「家賃8万円+管理費1万円」→ 実質家賃は9万円

管理費や共益費は、家賃と切り分けて表示されることが多く、表示の仕方によって、家賃の印象が変わりやすい項目です。実際の負担は、家賃と合算した金額で見る必要があります。

最近の家賃動向(2025年12月)

東京23区(1R~1K):平均 11.8万円(前年比+14.5%)
東京23区(2LDK~3LDK):平均23〜24万円(前年比+13.4〜14.3%)
全国平均:1坪あたり4,500円(地域差大)
今後の見通し:+5〜8% に減速しても、上昇基調は継続
理由:供給不足・都心回帰・再開発効果

  • 総務省統計局「消費者物価指数」
  • アットホーム「賃貸住宅市場レポート」
  • LIFULL HOME’S「賃料動向レポート」
  • SUUMO「家賃相場調査」

編集長のコメント

家賃は、人生の中で誰もが一度は向き合うテーマです。最初に住まいを選ぶときは、どうしても立地や広さ、設備といったスペックに目が向きやすく、見てる家賃が今の収入で払えるかどうかをメインに決める人も多いです。
その選び方自体が悪いわけではありませんが、少し背伸びした家賃ほど、「これくらいなら払っていける」という感覚として、その後も残りやすい印象です。
年齢が上がるにつれて、働き方が変わったり、家族ができたり、生活の前提は少しずつ動いていきます。そうした変化が出てきたとき、最初に決めた感覚を更新できないと、家賃が生活の中で重たくなってくる場面も見てきました。
振り返ると、制限が少ない早い段階の家賃決めほど、少し謙虚なくらいがちょうどいいと感じます。そして現場で話をしていると、だいたいこの一言に行きつきます。

「何かあっても続けていける家賃にしておいてくださいね。」

まとめ

  • 家賃は「手取り20〜25%」が現実的な安全ライン。
  • 年収別の適正家賃を参考に、生活費とのバランスをチェックする
  • 初期費用・更新料・管理費などの契約コストも含めて総額で判断する

家賃を月2万円下げたら、年間24万円。2年間で48万円の余裕が生まれます。その余裕があれば、更新料にも困らず、引越しや緊急時にもちゃんと備えられる。適正家賃を守ることで、将来の選択肢が広がります。

次に読むべき記事

募集図面から読み解く初期費用:契約前の基礎知識|HR-02

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

PropFP編集長のアバター PropFP編集長 宅建士 × CFP®

不動産業界15年
宅地建物取引士
CFP®(Certified Financial Planner™)

不動産の仕入・新築開発販売・リフォーム再販・投資用仲介・賃貸管理・隣地調整など、実務の川上から川下までを幅広く経験。

「不動産の知識だけでは、お客様を守れない」
その実感から、不動産 × お金 の両側面を正直に伝えるメディアとして PropFPを運営。
不動産の良い面と注意点の両方を踏まえて、落ち着いて判断できる情報を届けています。

■ PropFP = Property(不動産)× Financial Planning(資金計画)

目 次