土地を「持つ・残す・売る」ための3つの価額|L-01

土地を持っていると、年に1度「固定資産税の通知書」で評価額を目にします。相続が話題に上がったときには税理士から路線価を聞き、売却を検討すれば不動産会社から査定額(実勢価格)が提示されます。それぞれ異なる金額や用途の中で、持つ・残す・売るの判断を冷静に進められるように整理していきます。

目 次

結論:目的ごとに価額が分けられる

土地をどう扱うべきかを考えるときは、まずはどの数字を見るべきかを確認しましょう。

  • 持つ(保有) → 固定資産税評価額
    • 毎年どれだけのコストがかかるかを把握する価格
  • 残す(相続・贈与) → 相続税路線価
    • 相続税の負担を見積もるための評価基準となる価格
  • 売る(譲渡) → 実勢価格
    • いま市場で実際に値が付く価格

3つはそれぞれ役割が異なりますが、いずれも判断材料として欠かせません。まずは、自分が知りたい「目的」と結びつく評価額を押さえるところから始めてみてください。

持つ(保有)なら「固定資産税評価額」を見る

毎年の税負担を判断する基準となる
税率:固定資産税1.4%・都市計画税0.3%
3年ごとに評価替え:次回は2027年

土地を保有し続けると、毎年、固定資産税と都市計画税がかかります。この税額を計算する基準が「固定資産税評価額」です。
毎年5〜6月に届く納税通知書に詳細が記載されています。税率については、固定資産税は、評価額 × 1.4%、都市計画税は、評価額 × 0.3%で計算します。

例えば評価額が3,000万円の土地なら:

  • 固定資産税: 3,000万円 × 1.4% = 42万円/年
  • 都市計画税: 3,000万円 × 0.3% = 9万円/年
    • 合計:51万円/年

土地だけでも、10年で510万円、20年なら1,020万円。これが持ち続けるという判断の実質的なコストです。
また、評価額は3年ごとに見直されます。前回は2024年に評価替えがあり、次は2027年です。地価が上がれば評価額も上がり、税負担も増えます。

※都市計画区域外の土地は都市計画税がかからない地域もあります(納税通知書で確認可能)。
※本記事は、住宅用地の軽減措置を使わず、土地のみの税額で説明します。建物がある場合の軽減措置(小規模住宅用地など)は別記事で解説します。

残す(相続・贈与)なら「相続税路線価」を見る

・路線価は相続税贈与税を計算するための価額
毎年7月1日に国税庁が最新値を公表
相続税の基礎控除に収まるかで負担が変わる

土地を「残す」ことを考えるなら、まず確認するべき評価額は相続税路線価です。路線価は、国税庁が毎年7月に公表している相続税・贈与税の計算の基準となる価格です。国税庁のサイトで「路線価図」を確認できます。住所を入力すると地図が表示され、本地の前面道路に記載された数字(1㎡あたり・千円)が該当となります。

また、相続税には「基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)」があります。路線価がこの範囲に収まっていれば、土地そのものに相続税はかかりません。

例えば、法定相続人が2人の場合、基礎控除は4,200万円となります。該当する土地が、その範囲内に収まる評価額であれば、納税は不要です。一方、路線価が基礎控除を超える場合は、「残す」か「売って現金化する」かの選択肢も出てきます。

※ 土地の形状や奥行きによる補正、借地権割合など、より詳しい評価が必要になるケースは別の記事で解説します。

売る(譲渡)なら「実勢価格」を見る

・売却検討のときに確認すべきは市場で実際に取引されている価格をみる
・実勢価格は査定や成約事例、公示価格の倍率で概算できる
・土地は形状・間口・接道条件で価格差が出るため、複数の情報源を組み合わせる

土地を売却するときは、いま市場でどれくらいの価格が付くのかを確認します。固定資産税評価額や相続税路線価は用途や更新時期も異なるため、売却の判断には直結してきません。

  • 不動産会社の査定(複数社が望ましい)
    • 土地は個別性が高く、会社ごとに評価が変わるため比較がしやすくなります。ただし、査定額は「売れる見込み価格」であり、確定した金額ではありません。
    • 三井のリハウスノムコム など
  • 近隣の成約事例を見る
    • 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際の取引価格をエリア別に検索できます。また「レインズマーケットインフォメーション」では、過去1年間のマンション・戸建の成約価格が確認できます(土地のみの取引は少なめです)。
    • 売出価格ではなく成約価格を見るのがポイントです。
  • 公示地価から概算する
    • 国土交通省の公示地価は、土地価格の基準値として毎年公表されています。※ 全国地価マップ(参考)
    • 周辺の実勢価格はこの基準値をもとに倍率で形成されることが多く、おおよそ次のような傾向があります。
      • 都心・駅近:公示地価の1.2〜1.3倍
      • 郊外:公示地価の1.0〜1.1倍

このように、実勢価格を把握する方法はいくつかあります。

※土地の形状・間口・奥行き・接道状況によっては大きく差が出るため、概算として扱ってください。

編集長のコメント

土地の価値は、それぞれが別の目的に合わせて役割を持っています。使う場面が違えば、基準となる価格も変わります。この違いを知らないまま判断すると、本来よりも不利な条件を飲んでしまうことがあります。
例えば、不動産会社の査定などでは、路線価をそのまま使っているケースを時々見かけます。路線価は相続税用の基準なので、地域差はありますが、市場価格より約2割ほど低めに設定されています。
その結果、実勢価格では4,500万円で売れる土地が、路線価ベースの査定だと3,600万円で提示されてしまっていた。ということが実際に起きました。
こうした差は、土地の価値自体が低いわけではなく、使っている基準が違うから起きます。この違いを知っているだけで、査定書を見た時に「この不動産会社は何を基準に金額を作っているのか」そんな裏側が読み取れるようになります。
例にあげたように、路線価だけを根拠に安い査定を出す会社もありますし、逆にいえば、実勢価格だけで強気に見せてくる会社もあります。
そして、現場では“本当の数字”は自社で開発できる買取業者が握っていることもあります。仲介の査定と業者側の買取価格に開きが出るのは、この構造があるからです。
ここでは売却のケースを取り上げましたが、保有や相続でも確認する数値はそれぞれにあります。

「いま求めている目的に合う価額で判断することが大切です。」

まとめ

  • 持つ(保有)なら固定資産税評価額 — 納税通知書で年間コストを把握
  • 残す(相続・贈与)なら相続税路線価 — 国税庁の路線価図で相続税の目安を試算
  • 売る(譲渡)なら実勢価格 — 成約事例や査定で市場相場を確認

土地については、この3つの価額をあらかじめ算出し、基準として記録しておきます。

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この記事を書いた人

PropFP編集長のアバター PropFP編集長 宅建士 × CFP®

不動産業界15年
宅地建物取引士
CFP®(Certified Financial Planner™)

不動産の仕入・新築開発販売・リフォーム再販・投資用仲介・賃貸管理・隣地調整など、実務の川上から川下までを幅広く経験。

「不動産の知識だけでは、お客様を守れない」
その実感から、不動産 × お金 の両側面を正直に伝えるメディアとして PropFPを運営。
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