土地の区分と税制度・特例の関係|L-03

更地にしたら固定資産税が上がると言われた。同じ広さの土地なのに税額が違う。相続では特例が使える場合と使えない場合がある。土地にかかる税制度や特例は、なぜこのような差が生まれるのでしょうか。その違いは、土地をどのように区分して見るかにあります。

目 次

結論:土地の分類と条件から制度と特例を読み解く

土地の区分は、分類で見て、あわせて条件で見ることで、税制度や特例との関係を把握できます。分類として確認するのは、登記上の地目や利用の実態、法令上の位置づけです。条件として確認するのは、面積や判定時点といった具体的な要素です。
それぞれを取得、保有、売却・承継の各場面に当てはめることで、その土地に適用される制度や特例の範囲が分かります。

最初に確認すべき土地の区分

・登記上の地目は、公的な土地分類を示す情報
・利用状況は、敷地を一体で捉える範囲の情報
・法令上の位置づけは、想定利用と制限を示す情報

土地にかかる税金は、土地そのものに一律で課されるものではなく、制度上どのような種類や用途として扱われているかを前提に決まります。ここで扱う区分とは、登記上の表示、実際の使われ方、法令による位置づけという、性質の異なる情報を並べて整理するものです。

登記簿には、土地ごとに地目が記載されています。地目は23種類に分かれており、宅地、田、畑、雑種地などが代表的です。この表示は、土地が公的にどの分類として位置づけられているかを示します。中には、公衆用道路など、使われ方によって課税の対象外として扱われる地目もあります。

土地の利用状況も、区分を考えるうえで重要な情報です。住宅が建っている場合は、その敷地として使われている部分が中心になります。建物の建つ範囲を基準に、庭や通路、駐車スペースなど、生活に直結する部分を一体として捉えます。
このとき、構造物の有無や設置のされ方、舗装の状況など、土地の使われ方を示す要素が材料として見られることがあります。また、敷地の一部が月極駐車場や資材置き場など別用途になっている場合は、その部分を分けて整理されることがあります。

法令による位置づけも、あわせて確認しておきたい情報です。都市計画区域内かどうか、市街化区域か市街化調整区域かといった区分は、その土地で想定されている利用の前提や、建築・転用の考え方に関わります。たとえば、市街化区域では住宅利用が前提とされやすく、市街化調整区域では建築そのものが制限されることがあります。

これらの情報は、税の扱いを考える際に参照される基礎情報です。税制度や軽減措置を整理する際の前提条件になります。

税制度の中で、土地の区分はどう使われるか

・取得という行為に課税
・保有中の状態に課税
・売却・承継時の財産価値に課税

土地にかかる税金は、取得、保有、売却・承継という局面ごとに制度が分かれています。それぞれの制度では、土地について確認される内容が異なります。そして、税制度ごとに、土地の区分が使われる役割も変わります。

取得時に関係する税制度

土地を取得したときには、不動産取得税と登録免許税が関係します。いずれも、土地を取得したことや、その内容を公的に登録することを前提に課される税です。

税の名称課税の対象使う書類実務の流れ
不動産取得税土地を取得したこと固定資産評価証明書取得後、都道府県から通知
登録免許税登記をすること固定資産評価証明書登記手続の中で精算

取得時に関係する税制度では、同じ土地であっても、税の種類によって確認される内容が変わります。
不動産取得税では、土地をどのような内容で取得したかが確認されます。住宅の敷地として取得されたのか、建物の取得とあわせた取引なのかといった点が、制度上の扱いを分ける要素になります。土地の使われ方や取得の形は、軽減措置を検討する際に参照される位置づけです。
登録免許税では、登記の内容が基準になります。売買や相続といった登記原因や、登記簿に記載される事項が中心となり、土地の利用状況そのものよりも、どの内容が登記されるかが重視されます。

ここまでが、取得時に関係する税制度の考え方です。

保有中に関係する税制度

土地を保有している間には、固定資産税と都市計画税が関係します。いずれも、毎年の保有状況を前提として課される税です。

税の名称課税の対象使う書類実務の流れ
固定資産税土地の保有固定資産評価証明書市区町村から毎年通知
都市計画税市街化区域内の土地固定資産評価証明書固定資産税とあわせて通知

固定資産税と都市計画税は、一般には「固都税」とまとめて呼ばれ、同じ時期に納税通知書が届きます。そのため、一つの税として受け取られている場合もあるかと思います。

実際には、二つは別の税制度です。固定資産税では、土地がどのような利用区分で扱われているかが基準になります。毎年1月1日時点での土地の状態が参照され、建物の敷地として使われているか、更地として扱われているかといった区分が、課税の考え方に反映されます。建物の敷地として扱われる場合には、その敷地の範囲が税制度上どこまで含まれるかという点も、あわせて整理されます。
都市計画税は、都市計画区域内にある土地に対して課される税です。市街化区域に位置しているかどうかが基準となり、区域区分によって制度上の扱いが定まります。固定資産税と同時に課税されますが、見ているポイントは異なります。

保有中の税制度を分解すると、固定資産税は土地の利用区分を、都市計画税は区域区分を、それぞれ基準にしていることが分かります。

売却・承継時に関係する税制度

土地を譲渡したり、相続や贈与によって引き継いだりする場面では、譲渡所得税と相続税・贈与税が関係します。ここでは、土地の利用区分や取得の経緯が、税額の考え方に影響します。

税の名称課税の対象使う書類実務の流れ
譲渡所得税土地を譲渡したことによる利益売買契約書・取得費資料など確定申告
相続税相続により取得した財産評価資料・遺産分割資料など相続開始後に申告
贈与税贈与により取得した財産贈与契約書・評価資料など翌年に申告

譲渡所得税では、土地を売却した結果として生じた利益が課税の対象になります。売却価格だけでなく、取得費や譲渡費用、保有期間が計算に組み込まれます。また、その土地をどのような目的で保有してきたのかという点も、制度上の扱いに関わります。自宅の敷地として使われていたのか、投資用や事業用であったのかといった経緯が、税率や特例の判断材料になります。

相続税では、相続開始時点の財産価値が課税の基準になります。土地はその時点の評価額で把握され、路線価や倍率方式によって算定されます。住宅の敷地として使われているか、貸付用の土地であるかといった利用区分は、評価や特例の適用場面に影響します。

贈与税では、贈与によって移転した財産の価値が課税対象になります。原則として贈与時点の評価額が基準となりますが、著しく低い価格で譲渡した場合には、その土地を時価で贈与したものとして扱われることがあります。土地の区分や評価方法は、この判断の前提となります。

土地の利用と代表的な特例の整理

・住宅用地として扱われているかが基準となる
・敷地の面積と範囲が軽減枠を左右する
・登記地目と利用状況が判断材料になる

代表的な特例は、土地の利用と直接結びついています。

固定資産税には「住宅用地に対する課税標準の特例」があります。住宅の敷地として利用されている土地が対象になります。たとえば、敷地300㎡の土地では、そのうち200㎡までは小規模住宅用地として扱われ、課税標準は6分の1まで縮小されます。残りの100㎡は一般住宅用地となり、課税標準は3分の1になります。しかし、建物を解体し、そのまま翌年1月1日を迎えると、更地として扱われます。住宅用地としての区分が外れ、軽減の枠組みも変わります。

相続税には「小規模宅地等の特例」があります。相続開始時に自宅として使われていた土地は、一定の要件のもとで330㎡まで評価額が80%減額されます。たとえば、評価額が5,000万円の土地であれば、特例の対象部分は1,000万円として計算されます。賃貸アパートの敷地であれば、貸付用として200㎡までが50%減額の対象になります。用途区分ごとに面積の上限が定められています。

住宅用地の特例も、小規模宅地等の特例も、土地をどの区分として見るかによって適用範囲が定まります。土地の上に何があり、どのように使われ、どの範囲が対象となるのか。この整理を踏まえて、特例を当てはめていきます。

特例の判断材料は、土地だけに限りません。建物の用途や規模、所有の経緯、所有期間などが関係するものもあります。制度ごとに確認事項は異なりますが、土地の扱いを整理することで、どの特例が候補になるのかが見えてきます。

編集長のコメント

不動産開発をしていると、年内ぎりぎりまで建築計画が固まらないことがあります。設計の最終調整や行政との確認が続く中で、既存建物をいつ解体するかを決めます。
解体して年をまたげば、翌年の判定は更地です。住宅用地の扱いは外れ、固定資産税は上がります。建築そのものは問題なく進んでいても、判定日の跨ぎ方ひとつで税の扱いは変わります。
私は、計画の見通しが立つまでは、あえて年を越してから解体する判断をします。法令の範囲内で、判定の時点を織り込んで段取りを組みます。

こういう場面は、制度の知識より、その土地の扱いを先に見ているかどうかで差が出ます。特例はそのあと自然と見えてきます。

土地は平面と立体で見る。そこに制度と特例が重なります。

まとめ

  • 登記、利用状況、法令上の区分を確認する。
  • 取得、保有、売却・承継の場面ごとに、税制度の考え方が変わる。
  • 特例は、その土地の区分に応じて適用の範囲が定まる。

区分を確認し、各局面での考え方を押さえてから制度と特例を見ることで、土地と税制度の関係が一つの流れとして理解できます。

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この記事を書いた人

PropFP編集長のアバター PropFP編集長 宅建士 × CFP®

不動産業界15年
宅地建物取引士
CFP®(Certified Financial Planner™)

不動産の仕入・新築開発販売・リフォーム再販・投資用仲介・賃貸管理・隣地調整など、実務の川上から川下までを幅広く経験。

「不動産の知識だけでは、お客様を守れない」
その実感から、不動産 × お金 の両側面を正直に伝えるメディアとして PropFPを運営。
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